登らず歩かずのキリマンジャロ   
 -そしてサファリへ―
 2019/1/17(木)~1/25(金) 
 

   
                         サファリ走行ルート(GPSによる)                アフリカマップ

1月18日(金)  羽田~ドーハ~キリマンジャロ空港~マラング

前夜半に羽田空港を発ちドーハ経由でキリマンジャロ空港に降り立ったのは、いつもの山仲間の元乙女4人と、もしかすると介護のつもりで毎度の旅をお世話くださっている少し昔の青年Sさん。

黄砂なのか霧なのか遠くは、どんよりしていてキリマンジャロは見えなかった。
査証と入国手続きを済ませ、迎えの車で、約2時間マラングのホテルへ直行。
赤いブーゲンビリヤやホウオウボク、黄色のゴールデンシャワー等花をつける木々やアロエ達が南の国に来たことを教えてくれる。  ホテルではすぐに夕食にして、翌日からに備えて早めに就寝。
1月19日(土)  マラング~アリューシャ
      

朝、ホテル内を散歩 
            
 朝食前にホテルの庭を歩いていると、アリューシャまでの現地ガイドのアロンさんが「今キリマンジャロが見えている」と車で数分のポイントへ案内してくれた。少し雪を被った山がそこにあった。感激!!
      
     キリマンジャロの模型                       キリマンジャロ登山ゲート
     

今回は登らず、歩かずなのだ!           コーヒー農園に寄る
   ドルポに行った頃の体力ならば、いや、今回は「登らず、歩かず」なのだ。
 この日の予定はアリューシャまでの移動だが、先ずは、未練がましくキリマンジャロ登山口へ。ポーター達が出発準備をしている。登山ゲート前に、キリマンジャロの模型があって登ることが出来る。我々も1分間で登頂。万歳三唱して、アリューシャへ向けて出発する。
          
                      
コーヒーを作るところを実演
      
歌を歌いダンスをしながら観光客にコーヒー製造をみせる、買わないわけにいかなくなる。
豆を鉄鍋にいれて直火で焙煎したものを臼と杵で粉砕、JAPANの文字も書いてくれた。
      
  道の両側には、多くは調理用バナナの畑とその日陰を利用して栽培されるコーヒー農園がかなりの面積で続き、トウモロコシや芋畑もみられた。 途中、コーヒー農園に寄り、オーガニックコーヒーを作るところを見学。

 多分、観光客にコーヒー製造をみせるのが商売の所らしかったが、全部手作業で興味深かった。アラビカ種のコーヒー生豆の薄皮を臼と杵で取り去り、次に豆を鉄鍋にいれて直火で焙煎したものを臼と杵で粉砕、湯で煮だして上澄みをカップに移して飲む。コーヒーの粉と砂糖を混ぜたものを嘗めたりもする。

 この臼と杵で突いたり焙煎したりの、どの作業中も周りの人たちは違った歌を腰を振り振り歌うのだ。山形県の餅つき歌にも、蒸もち米を潰す段階とぺったん、ぺったん餅つきする時では別の節回しがあった。杵の形も同じく棒状。 お土産に何袋か購入して、農場を後にする。

   

チャガ族の博物館を見学、流暢な英語を話す館長さんが案内してくれた
 暫く走って、チャガ族の博物館にもなっている住居群を流暢な英語を話す館長さんの案内で見学する。藁ぶきの小さな丸い住居に動物とも一緒に住むという。留守にするときには笹を大きくしたような葉っぱの置き方で、直ぐ帰るか否かをわかるようにするとか。 道具類も展示してあり、使い方も面白い。 現地ガイドのアロンさんもチャガ族とのことで、昼食はアロンさんの家で頂く。 バナナの煮たもの、リブ付き豚、チキンカレー風なもの、どれも美味しかった。
     

昼食はアロンさんの家でいただく。どれも美味しかった。     クレーター展望台で
 17時アリューシャホテル着。キリマンジャロビールと南ア産赤ワインで乾杯。 因みに、この乾杯行事はこの旅の最後まで毎度、同じく繰り返されたものだ。  
 1月20日(日)アリューシャ~ンドゥツ湖)
  いよいよサファリカー(トヨタの四駆車を屋根が開くように改造したもの)で翌日からのサファリ基地ンドゥツ湖へ向けて出発。サファリガイド兼ドライバーは、お祖父さんがマサイ族だが、6人種くらいの混血だというキサリさん。

 車窓風景は、前日と同様、牛や山羊の放牧地とバナナとコーヒー農園だが、牛追いに、赤いカンガやキテンゲを腰や肩に巻いたマサイ族が目立つってきた。 ガイドからマサイ族の集落や、人々にカメラを向けないよう注意される。

 と、レイク・マニアラ国立公園のゲート付近で、マントヒヒが車の前を横切った。突然のことでカメラを慌てて出したが、ばっちり撮れていた。この辺りは、猿が多い公園が近いのだそうだ。  

 やがてランチスポットの看板があり、サファリカーが数台停車している広場に出た。大型のコウノトリのアフリカハゲコウがいて、まだ野生動物が珍しい私達は一緒に写真を撮ったが、死肉やごみを漁ったりする鳥らしい。年賀状の写真にすると言っていた誰かさん、止めた方がいいんじゃないかな。

 車の中でボックスのランチを済ませて、出発。  
 二日後に訪れる予定のンゴロンゴロ保護区の手前で、またもや突然、道路のすぐ左脇をアフリカゾウが4,5頭並んで歩いているのに遭遇。右側にも大きな牙の象が出てきて、驚かされた。

 今日は移動日と油断していたのに、その後も、シマウマ、インパラ、キリン、トムソンガゼル、ヌー、ホロホロチョウ アフリカハゲコウ等が現れ、一同声もなく、車の天窓から首を出していた。  

 やがて、車は森から出て、ンゴロンゴロ保護区の中のマサイ族に限り許されているという牛と山羊の放牧地とマサイ族の集落が点在する平原へと下っていく。そして、一つのマサイ族の集落を見学することが事になった。

 マサイ族の男は凡そ牛15頭で一人の奥さんを娶ることが出来、牛を沢山所有する甲斐性のある男は何人でもOKらしい。 我々が訪ねた集落には23棟の家屋があり、そのうち7棟が家長の家族、残る16棟は、それらから独立した息子たちが形成する家屋という説明。集落の中に学校もあり、大勢の子供たちが、英語で数を数えていた。クラスの全員が兄弟、姉妹、従兄弟、従姉妹の何れかのはずというのも、何とも凄いお話。 狭いので、1家屋に一人ずつ入って家の中を見せてもらうことになったが、真っ暗で、説明された竈も寝床も何も見えず、体よく退散してしまった。  

 再び、車はンドゥツ湖を目指すのだが、そこここにヌーの大群がまるで押し寄せるように現れてビックリ。地平線が黒く見えるほど群れている。ヌーの移動の時期に、ぴったりとマッチしたようだ。

また、キリンだ、インパラだ、ホロホロチョウだと叫んでいるうち、午後5時過ぎにンドゥツ・サファリロッジに着く。客室は庭に1棟に1~4部屋ずつのロッジ形式になっていて、焚火の目印から外の出ると危険との看板が立っていた。実際、夜星を見ようとドアを開けたら、警備員が飛んでくる有様。確かに夜中に動物の鳴き声も聞こえ、朝には、ヌーとガゼルが近くにいたし、危険には違いない。 
      
                                
トヨタのサファリカーは頼りになる                アフリカハゲコウ
      

突然にゾウが現われた                           シマウマ
     

     マサイ族の集落を訪問                   盛装して歌と踊りを披露してくれた
          

                            一緒に写真も撮ってくれた
   
     集落の中には学校もあり、英語を勉強していた
      

ヌーの大群、遠くにも群れて黒くなっているのが分かる              キリン
      

トムソンガゼル                   ランチボックス
           

 サファリロッジ
1月21日(月) ンドゥツ湖とセレンゲティ国立公園
昨夜の雷雨で、道がぬかるんでいるため、少し予定を変更して、ンドゥツ湖のセレンゲティ側へ向かう。

途中、ハゲワシ、マングース、キリン、インパラにも出会ったが、この日の圧巻は、移動中のヌーの大群に出会ったこと。丁度、ンドゥツ湖とセレンゲティの境界のあたりがヌーで溢れかえっていた。テレビで川を渡っているヌーやライオンに追われているヌーを見たことがあるが、全くそれに勝る迫力で、ヌーの大群が押し寄せているではないか。水の上を走る、走る。藪の中を猛ダッシュするもの。他の群れと逆走する群れ。何年もガイドしていて慣れているはずのキサリさんも声もなく唸っているし、15回のキリマンジャロ登山のついでに毎回、サファリに来ているはずのSさんも「こんなに数がいるのでは約35年のヌーの生涯で一度もライオンに合わず終いのヌーもいるのだろうな」と魂消ている様子。

 俗人の私は、皇居の新年参賀に参集した人々、或いは、ハロウィーンの日の渋谷のスクランブル交差点に集まる人々が突然、全速力で走しりだしたら、という仮想の光景を思い浮かべた。 この地域にヌーが来るのは1~3月と漠然と知られてはいるが、こんなにぴったり当たるとは幸運としか言いようがない。それにしても、水と草を求めて移動するのに、何故あんなに急いで走るのだろうか? 考えると寝られなくなる。

ヌーの群れの向こうには、フラミンゴでピンクに染まる湖が静かにあった。 さらに、セレンゲティを行くと、見られるのが稀というチーターを発見。 傍に、犬のようで案外可愛いハイエナや、本当に可愛いティクティクもいる。  

と、ライオンだ!との叫び声。車がすぐ横まで来ても全く動じないライオン2頭は、交尾中であった。その後に出会ったライオンも白い腹だし、足を広げて睡眠中だったり百獣の王たる威厳も貫禄も皆無の風体だった。  

自分の体の何倍もの丸いものを運んでいるフンコロガシに声援を送ったり、青い羽根の美しい鳥・ツキノワテリムクに声をかけたりしながら、満足顔でロッジへ帰った。このロッジのレストランには縞模様の長い尻尾のジェネット(ジャコウネコ科)が住み着いているのか、柱の間の梁の上を歩いてきて可愛い。
 
      

川を渡るヌーの大群
      

ライオンを発見、アララ交尾!
         

              ハイエナ、こうしてみると意外と可愛い                  
        

チーター              フラミンゴ
           

                       ロッジで夕食、ジェネットが出てきて可愛かった
 1月22日(火)ンドゥツ湖~ンゴロンゴロ保護区
午前中はンドゥツ湖、ロッジへ戻って昼食後ンゴロンゴロに移動の予定。 再び、ンドゥツ湖へ。フラミンゴの優雅な姿の後ろに5頭前後いるらしいカバの目玉と鼻先が見えた。全く水から上がりそうもないので諦めて進むと向こう岸に2群、6~8頭の象と湖岸に立つカバが見えた。  

さらに奥に進むと、またもやヌーの大群に遭遇する。ひげは山羊のひげ、尾は馬の尾、角は牛の角を取って出来たと言われるヌーは、鬣の下に黒い鬣模様があって何とも面白い。ここでもヌーの大群は猛ダッシュで行ったり来たりしていて、ゆっくり草を食んでいるヌーとは、別種の動物のように思えてくる。
 午後、木の間に沢山のマングースを見かける。マングースとコブラの戦いを見世物小屋で見たことがあるが、二本足で立っている姿は愛嬌があって、そんな獰猛な動物には見えなかった。

平原に出ると何時もの、シマウマ、ヌー、ガゼルと一緒にイボイノシシ(3頭)、ハイエナ、ダチョウ、そして、ついにジャッカルがやってきた。ハイエナもジャッカルも近くを通るのを見ると、やはり怖い。犬に似ていて可愛い言ったのは、取り消すことにしよう。

 夕方、ンゴロンゴロ・セレナ・ロッジ着。景観に配慮した石造りのデザインの建物の部屋からはクレーターを見下ろすことが出来る素敵なロッジだった。 ここは火口縁にあって標高は2300メートル位の所。 夕食前に日替わりで、マサイダンス、楽器演奏などの催しがある。  

      

カバの目玉と鼻先が見えた、水に潜っていると分からない、遠くに象が歩いている
       

       ダチョウも出てきた         石造りのホテル、クレーターが見下ろせる素敵なところ
             

ホテルの夕食前には楽器演奏、 マサイダンスなどアトラクションを楽しんだ。
 1月23日(水)ンゴロンゴロ保護区
 ンゴロンゴロ保護区は大地溝帯に点在する火山クレーターにある。東西約19㎞の底を中心に広がる約264㎢の火口原にはキリンとインパラを除く全動物が住むという。サファリ最後の日でもあり、まだ出会っていないサイ等も見たいと期待を膨らませて出発。

早速、2頭の大きなバッファローに遭遇。角が八の字髭のようで何とも愛嬌がある顔をしていた。その後も白いアマサギを背中に乗せたバッファローに出会う。

そして、会いたいと切望していたカンムリズルにも何度も出会い、ついに、キサリさんの執念でサイをも発見できた。 最後に、またしても大感動!!ヌーの大群の中に、生まれたばかりと思われる赤ちゃんヌーを発見。母親の足の長さの大きさなのに母親ヌーと同じ全速力で走っている。走る、走る。もうすぐ、沢山の赤ちゃんヌーが見られる事だろう。

 ンゴロンゴロ保護区で見た動物: エランド、バッファロー、マングース、ライオン(♀と♂)(♀2頭)(♂)、グランドガゼル、トムソンガゼル、象、ダチョウ(♀と♂)、カバ、カンムリズル、イボイノシシ、ハイエナ、ジャッカル、シマウマ、サイ、ホワイトペリカン、アマサギ、オニアオサギ、アフリカクロトキ、ハタオリドリ等

       

なかなか見ることが難しいというサイを確認、カンムリヅルもいた。
         

イボイノシシ                マングース
     

             象を望遠でとらえる        カバをバックにご機嫌な昔の乙女たち
 1月24日(木) ンゴロンゴロ~アリューシャ~キリマンジャロ空港
           

山﨑豊子の小説「沈まぬ太陽」に心を寄せる   
        

マントヒヒ                  バッファロー
      

         バオバブの木               飛行機からキリマンジャロを撮る
旅の終わりの日、朝焼けの赤い雲が眼下のクレーターの中の水に映って美しかった。名残惜し気に下る車の前を、マントヒヒとバッファローが横切った。送りに来てくれたのかな?  バオバブの木を見たりして、アリューシャのチャガ族のレストランで昼食を摂り、キリマンジャロ空港へ直行する。飛行機はキリマンジャロを一回りしてくれた。さよなら、登らず、歩かずのキリマンジャロ!!  ドーハで乗り継ぎ、25日(金)夕刻に成田着いた。 あっけない幕切れのようだが、このような形の旅は初めてであり、忘れられない旅のひとつになることは確かである。 アフリカに始まりアフリカに帰ると言うではないか。 ;

               紀行文:衛藤 朝子    写真:衛藤朝子、懸田保子、後藤はるみ 
 
 
参加者
参加者:衛藤朝子 内野文子 懸田保子 後藤はるみ
ツアーリーダー:杉 美成
企画:株式会社キャラバンサライ
 スタッフ