6月24日(火)晴れ チェレラ(峠3750m)を越えてハ(2760m)へ

 7:50 専用車で出発。飛行場を左手下に見ながら、10分程で簡易舗装の山道に入り、高度を少しづつ上げチェレラに向かう。山を削った断面の土の色は鮮やかな赤茶。パロが見えなくなると森林地帯に入る。松の種類が多い。タカトウダイの朱色の花が目につく。

 30分ほど登ると(*2795m)白い野バラ、やがてピンク色の野バラが現れる。ブルーパインの巨木が見事である。アイリス、やや小振りのプリムラ・シッキメンシスの群落地(*3530m)に狂喜する。時々牛飼いのブータン人(衣服で判る)と牛の群れ、トタンで囲っただけの極貧の小屋とインド人たちと行き会う。インドの会社が駆り集めた道路工事の出稼ぎ人と彼らの仮住まいで、2〜3年働くらしい。ブータン西部の道路工事は彼らに負うそうだ。  
 9:45 チェレラ着。車が2、3台止まり、小さなチョルテンが建つ。峠からは下方左右にハとパロが見下ろせる。



ダルシンの翻るチェレラ峠



チェレラ峠遠望

 ゆるやかな草原状の丘が連なり、中腹には死者を弔うダルシン(白い幡)があちこちに林立、風にはためく。遠くにクラリネットと読経の声が風に乗って響く。僧が新しいダルシンを建てに来ているのだという。道路脇の岩の割れ目などには、ツァツァ(Tsatsa)と呼ばれる指先ほどの小さい、白い円錐形のチョルテンがびっしり置かれている。遺灰と土を捏ねて作ったもの。遺灰を混ぜてないものもあり、それは生きている人の健康とか幸せを祈るものだそうだ。チェレラは風の吹き抜ける、死者を弔う峠である。

 ブルーポピー(メコノプシス)を探しながら北の山頂をめざす。花期は殆ど終わっていたが、シャクナゲ(黄色またはオレンジ色)の茂る緩やかな草地の斜面である。途中で九州から来たツアーの方達と行き会う。道端にはサクラソウ、ピストルタ・アクロフィラ(ピンクのトラノオ)、エンゴサクや白バラ(日本のサンショウバラに似る)、小型シャクナゲなど。かなり登った急斜面上(約3900m地点)にメコノプシス2株、下山途中の藪のなかに赤紫の株をみつける。

   

ブルーポピー



赤紫のメコノプシス

12:00 チェレラ発 舗装はされているがくねくねとした下りで少し気分が悪くなる。
13:00 ハ(2760m)着。緑が覆う、明るく広い谷間の村である。サッカー場もある広々としたインド軍の駐留キャンプ、立派なハ・ゾン(第3世の王妃の生家でもある)を過ぎ、ハ・チュウに沿って村道を走ると急に石畳となり歯を噛みそうなくらいガタガタ揺れ、今夜の宿リスム・リゾートに着く。二階建て、上下各6室を備えた宿泊棟と食堂、集会場(?)の3棟からなる。


 
リスム・リゾート宿泊棟



食堂



客室



ドツォのテント




菩薩三山リスム・ギュム

宿泊棟の裏の台地にテント張りの石風呂ドツォ。客室は広々としたシャワー室を兼ねた洗面所とトイレが隣接し、オイルヒーターが装備されて快適である。
前景はハ・チュウの向こう岸に穏やかな丸みを帯びた菩薩三山リスム・ギュム(金剛手、観音、文殊)が聳える。

 遅い昼食後、15:00専用車でカン・カルポ(白寺)へ。15世紀に建立された古い寺で門を入ると工事中のだだっ広い広場。炎天下、犬が数匹日向に寝っ転がり、石を背に運ぶ男女の工事人たち10人ほどが精一杯の笑みを浮かべながらこちらを見ている。
  

    
        
カン・カルポ(白い寺)



工事監督とキプチュさん

 祭壇前では中学生くらいの小坊主さん数人が読経中。キプチュさんに習い、私達も丁寧に各仏像の前で拝礼。  16:00ホテルに戻り、夕食前にドツォに入る。部屋付きのシャワーで身体を洗ってから大型タオルをもっていく。大きなテントは二部屋に仕切られて各スペースに2人用の木製の湯船と椅子が一脚置かれている。地面には石が敷き詰められて、その上にヨモギ(ケンパ)が敷かれ、湯船のなかにもヨモギが一杯浮いている。いい香りが立ちこめる。



ドツォ



石を焼く。左の人はドライバーさん

 外では石が小高く積まれて焼かれ、大きな火箸やシャベルで取り出して、湯船にドボン!こうして何個かの石を湯船の端に入れて、湯加減をする。外からテントを閉じてもらい、湯船に入る。じわっと身体が温まり、香りよくいい気分である。10分くらい暖まった。
17:00 お茶。19:00夕食  

 食事について:バイキング方式でそれぞれの料理が蓋付き保温容器に入っているのを自由に皿に取るか、大皿に盛られた料理がテーブル上に全て並べられる。この日は白い御飯、ポテト、カレー、青菜とチーズのホワイトソース和え、マンゴ、コーヒー  夕食は西洋式にセットされたテーブルに着席するとスープが供される。後はバイキング式で好きな物を皿に取り分ける。サラダはキュウリやトマトが装飾的に盛り付けられてテーブルの中心におかれていることが多かった。この日の献立は野菜スープにはじまり、豚と大根の煮込み、馬鈴薯のコロッケ、アスパラガスのバター炒め、馬鈴薯とチーズのホワイトソース煮、カレー風味のダル(豆の粥)、御飯。



取り分けられた料理



キュウリのサラダ
ブータン