6月25日(水)晴れ キプチュさんの生家へ 郷土料理ヒュンデを作る
 
体調を整えるための軽いトレッキングを兼ね、農家を訪ね、昼食はそこで郷土料理を食べるということで、キプチュさんの生家を訪問する。  

4:30鳥の囀りで目が覚める。ソバ粉のパンケーキ、粥などの朝食を摂り、7:55 専用車で出発。8:07病院前で車を降りる。看護師さんの制服も“キラ”だが白色で、ティゴ(上着)は黒。成る程と妙に納得。

 病院の後ろの大きな農家の脇から道を取る。小さな寺や、農家やその廃墟(火事や後継者が絶え放置され壁だけが残る)、畑の間を緩やかに、子供が生まれると生卵を持ってお祝いにいく、とか村の慣習など説明を受けながら登る。川の側の木陰にドツォ。これぞ究極の野天風呂である。



木陰のドツォ



ゴンパより生家を望むキプチュさんとドライバーさん

 正面に山が見えてくる。中腹にダルシンがはためく。そのゴンパまで登るらしい。途中から山道に入る。結構急でジグザグ登る。キプチュさんは子供の頃通学に殆ど直線距離で登り降りしたそうだ。ジンジャー、アスターなどが山道に咲く。小休を取りながら、10:00 村のゴンパに到着。内部で拝礼してから、少し下ってキプチュさんの家に到着。

キプチュさんの生家:竈、食器棚、食料庫のある大きな台所、ストーブのある食堂兼居間。その奥に客間兼寝室。どれも6〜8畳くらいか。客間の右手の扉から納戸を抜けると仏間(4畳くらい)で、柱で仕切られた小部屋が続き、内部に仏壇がある。拝礼する場所は曾祖父母以来少なくとも100年近く立ち続けたため足の形に凹んでいた。信仰の厚さの証しというべきか、誇らしげであった。室内は原則的に土足で、通された客間にはゴザが敷いてあったが、勧めるままに土足で失礼した。その部屋の周囲には長持ち(中に祭り用の絹の衣装がびっしり)が置かれ、ロープか棒を渡して、キラなどがきちんと畳まれて懸けてある。手洗いは台所の奥で、隣はシャワー室を兼ねた納屋(土間)であった。

   

台所



仏間からみた仏壇のある小部屋



仏壇



仏壇前の足跡

 昼食のメインはヒュンデというソバ粉の餃子。お姉さんが先ず見本を作り、私達も挑戦する。案外難しく、私は上手く成形出来ず、諦めて、自分流で作った。

ヒュンデ:材料:ほうれん草の団子(直径10cm位、茹でたほうれん草を団子状にしたもの)、粉末山椒、菜種、マスタードシード、ニンニク、塩、油。ソバ粉、打ち粉。

作り方:鍋に油を入れ温め、ほうれん草団子を崩し入れ、香辛料を加えてよ く混ぜる。そば粉に水を加えて捏ねてから、直径3cm位をちぎって、打ち粉をした手に取り、指を操って袋状に形付け、ほうれん草の具を入れ、襞をつけながら口を塞ぎ、楕円状に成形する。鍋に湯を沸かし、奇数個を入れ、浮いてきたら出来上がり。


 
材料



指の間で成形



ゆでる


ヒュンデを作る
キプチュさんのお姉さん
 この日の献立は食前に竹で編んだ伝統のランチボックス、バンチュウに盛られた三種の穀物(押し米、干し米を炒って甘辛く味付けしたもの、お米のアラレ)とヤクの干し肉が供された。

 メインは赤米、大根と干し豚脂の煮込み、馬鈴薯とチーズの煮込み、野菜スープ、ほうれん草と肉の炒め煮、ヒュンテ、アスパラガス。




バンチュウに盛られた三種の穀物スナック



並べられたご馳走

12:40 家族に見送られてお暇する。帰りは未舗装の車道をダラダラと下る。途中の谷川でオオルリチョウを観察。14:30病院下に到着。14:55ホテル着。
明日からはじまるトレッキングスタッフ4人が紹介される。

16:00お茶。熱々のタマネギ、馬鈴薯の天ぷらがお茶うけ。
19:00夕食(トマトスープ、肉とタマネギのスパゲッティー、大根のホワイトソース煮、馬鈴薯のトマトソース煮、ニンジン・カリフラワー・インゲンのバター炒め、虹鱒の唐揚げ、パンプディング、コーヒー。
ブータン