6月26日(木)朝曇り、のち晴れ   農家の間を縫い、ジャナ・ジンカ寺へ。
                         アイリスの茂る沼の辺でキャンプ
 
 いよいよトレッキング開始である。リゾート前の草地にトラックが止まり、トレッキング用品が積まれる。キプチュさんも登山靴を履き、ポロシャッツにズボンと洋服姿である。

8:00 専用車で出発8:07橋を渡って出発地点に到着、個人ポーター2人と合流。ドライバーさんとはここでお別れである。8:20 柳の植わる小川に沿って歩き始めるが、道や川には食品などのプラスチックの袋がかなり散乱して胸が痛む。この辺りは大きな農家のある集落で、丁度麦の収穫時、畑には刈り入れの人が見える。石垣で囲われた畑の間を歩き、松林帯に入り、次第に高度が増す。暑さも増す。ビオラ、コマノツメ、ジンジャーが可愛い。ハの町が下方に、昨日登った山が正面にせり上がってきて、キプチュさんの家も豆粒のようによく見える。一時間ほど登って松葉の一杯敷き詰められた台地で一休みしていると10:00 私達の馬が目の前を通過する。10:50 ジャナ・ジンカ直下(*3275m)のチョルテンある台地に着く。ここは昔火葬場だったとか。ここからまた一登りして11:00ジャカ・ジンカ前へ。ハの町が眼下に広がる。



出発の準備



私達の馬がやってくる。


ジャカ・ジンカからハを望む、
左の山頂の集落がキプチュ氏の生家



ジャカ・ジンカ直下の昔の火葬場

 風が気持ちよい。寺は失火したのだろうか窓の上の壁が煙が吹き出たように黒くなっている。小坊主さんが珍しそうに私達を見ている。寺の裏側に出るとハとは反対側の村落や、遙か山間に続く道が見える。インドに通じているそうで、かつて(1947年)ネール首相がインデイラ・ガンジー嬢を伴ってこの道を通ってブータンに来たという。徒歩ではなく勿論馬に乗ってきたのだろう。

 11:15再びほぼ平坦な道を草をかき分けて歩き始めるがかなり空腹、お昼が待ち遠しい。11:30 見事な樹木(スプルース、ヘムロック、シルバーファーなど)に囲まれた鞍部の明るい草地に出る。馬が一匹と2人のスタッフが先に着いていた。ランチだ!

  トレッキング中のランチは御飯と5種のおかず。アルミ製の円形の五段の重箱にそれぞれ入っていて、すっぽり魔法瓶に入れて持ち運ぶ。先ずカップと皿と紙ナフキンが配られ、甘?いジュース、つぎに御飯、そしておかずが配られる。大根と豚肉の煮物とかアスパラガスなど野菜のバター炒め、茹でた馬鈴薯、野菜のホワイトソース煮などである。デザートにリンゴ、チョコレートなど、最後に紅茶。

 

草地の唐松
12:26 出発、アイリスやシャクナゲが茂る樹林帯を登る。13:00 広々とした気持ちのよい草地に出る。オニゼンマイ、フーロ、シオガマなど咲き、ジョニパー、唐松など樹木の間から雪を残し岩肌のパロの聖山ジョージャーキー、ハの?アプチョンディー(共にキプチュさんから聞き取ったのをカタカナにしたので正確か否かわからない)の頂きが雲間から覗くが、あっという間に雲に覆われてしまう。これがトレッキング中私達が見た6000m級の山の最後の姿であった。

 再び森林帯を行く。13:30遠雷の音。雨具を着ける。周囲を見渡すと雷に焼かれたと思われる、巨木が目につく。更に登り続けると木の根元にテンガロー・ハットを被った人が・・・私達の馬方さんだった。その上方に裸馬が一匹。馬が帰ってしまわないように、馬方さんが見張っていたのだ。しばらく鳴っていた雷は止み、黄色いプリムラが咲く流れ沿って行くと突然目の前が開け、馬数頭が放たれ、たき火の煙が上がっている。

14:20第1キャンプ地ツォカム(3597m)に着いたのだ。左手は沼、花が終わったアイリスが一面に広がる。周囲は原生林。黒々とした緑に囲まれた静かで幻想的な空間。私達のテント4張りとスタッフ用1張り、トイレ用テント2張り(和・洋)、食堂と厨房の大きなテント2張りが既に準備されている。荷物を解き、シュラフをセット。お茶の後、気ままに周囲を探索。18:30夕食。たき火を囲み、20:00就寝。



馬が放たれるキャンプ地




メガコドン属(リンドウ科)
ブータン