バードウオッチング編
ブータンは昨年に引き続いて2度目の花のトレッキングであったが、場所は変わり今度はチョモラリ展望に、バード・ウオッチングが加わった。

ブータンの野鳥の宝庫にはガイドのペマさんがバーダーであったので彼の助けを借りて多いに楽しむことが出来たのは嬉しい限りであった。見つければ直ぐに知らせて下さり、その場でまたはキャンプに入ってからも必ず同定して下さる、等とことん親切であった。

チョモラリBCの停滞日ではパロ・チュで共にカワガラスの種類の違いを比べたりしたのも良き思い出である。そして空にトキハシゲリの甲高い鳴き声が響きわたる朝夕が懐かしい。 ブータンの厳しくも穏やかな自然と人間味。最後の最後まで快い支えに心からの感謝の気持ちで一杯である。空港での見送りのガイドのペマさんの暖かい握手と眼差しは私に一層バードの興味を増させるのであった。  
                   
6月13日パロ・ゾンの庭にて

パロ・チュに架かる古橋に佇んでいると、眼下に「カワビタキ」の♂と♀が尾を奮わせていた。また遠く柳の木の中には「クロヒヨドリ」が (写真) 
          

カワビタキ♂                             カワビタキ♀


クロヒヨドリ
6月14日 チェレラ峠

峠に行く途中で「ヤマザキヒタキ」♂と♀。また2,669m付近では「カササギ」を目撃。 3,442m にさしかかった時に急ブレーキをかけた専用車の前方にベニキジの♂が歩いて横切っていた。直ぐに森の中に入ってしまったが、森の中にはベニキジの♀も確認。去年もこの峠で見たが記録によると3,445mで見た、となっている。峠では沢山の「ホシガラス」が飛んでいた。

6月15日パロ〜 ドウゲゾン 〜 シャナ

ドウゲゾンからいよいよトレッキング開始。付近には「セアモズ(チベットモズ)」、ニュウナイスズメ、スズメ達が賑やかだ。またパロ・チュ沿いには「タイリクハクセキレイ」が多く見られた。

6月16日シャナ〜トンドザ

パロ・チュに沿ってアップダウンの繰り返し。日差しが強い。木陰を求めて昼食を取っていると、目の前の大きな苔蒸した岩にフワリと黒っぽい鳥が舞い降りてきた。「オオルリチョウ」であった。 午後、森の気配のキャンプ地に到着して、テントでおやつを食べていると、森の奥の大きな岩に目の大きなブルーグレーの鳥が留まっている。飛び立つとすごく尾が長く、段だら模様である。バラの木に留まったり、とちょっと皆で大騒ぎ。川の岸辺の平地で採餌をし始めたので観察。ペマさんのところに飛んでいって鳥名をきく。キバシサンジャクだという。 森の中には沢山の鳥がいたようだが、暗くてよくわからなかったが、「キジバト」 が多く飛んでいた。

 

オオルリチョウ                       キバシサンジャク
       

ッコウ                                     カワガラス
          

カワガラス                           キバシガラス
月17日トンドザム〜ジュンシタン

高度も3,500mを越えている。チョモラリも見え始める。森の中で赤や黒や黄の小鳥達がにぎやかだが動きが速く双眼鏡のキャッチが大変だった。「キバラオウギビタキ」「キガシラモリチメドリ」「キンバネガビチョウ」「カラフトムシクイ」「ハイイロカンムリガラ」「キバラアカゲラ」「キジバト」「ヨコジマオナガバト」「オグロクイナ」。

6月18日ジュンシタン〜ジャンゴタン(チョモラリBC)

のどかな雄大な景色の雰囲気の中をトレッキング。胸が白い「ユキバト」それに「ベニバト」も。「ヒゲワシ」が悠然と山間を旋回して飛んでいたり、翼の白い「ノスリ」も確認。 ヤクを飼う人々の村テゲタンでは、農家の庭から「カッコウ」が現れた。 ジャンゴタンの道中で見かけた鳥達:「カササギ」「キバシガラス」「ワタリガラス」「ヒマラヤハイロツグミ」「シロボウシカワビタキ」「シロガシラジョウビタキ」「タイリクハクセキレイ」「ムラサキツグミ」「チョウゲンボウ」。 ジャンゴタンに到着すると「キバシガラス」の群れがすごい。明日はここでの停滞日となるので夕方までゆっくりと過ごす。

パロ・チュの川縁に行くとけたたましい鳥の鳴き声が私の横を通っていたかと思うとトキハシゲリが向こう岸に降りて、すさまじい速さで歩いている。再びケケケと啼きながら空を飛んでいるが、あの赤い長い嘴を開いて啼きながら飛んでいる。川の淵の岩に黒い鳥「カワガラス」が2羽。ペマさんが中洲から「おいで、おいで」と手を振っているので石伝いに渡る。トキハシゲリが空を舞う中、岸辺に数羽の水に潜ったりしているカワガラスを見つける。お腹が白いのは「ムナジロカワガラス」、また茶っぽいのは♂のカワガラス、黒っぽいのは♀のカワガラス、と2種のカワガラスを同定。ペマさんも嬉しそうだ。
      

ユキバト                               トキハシゲリ
6月19日ジャンゴタン〜ゲップタンカ(4,200m

朝6時頃、トイレにテントから出たら、ペマさんが私に向かって、早く来い、というふうに手招きしているので、急いで双眼鏡を抱えて寝間着のまますっ飛んで行く。丘に鳥が見え隠れしている。お腹が黄色の鳥で岩の間から出たりしているのを観察。「キバシキンクロシメ」の♂だという。 朝食の後、丘の上に「ユキバト」が留まっている。また午後の自由行動では河原での「トキハシゲリ」の観察に堪能する。

6月20日ジャンゴタン〜ツォフ湖

ツォフ湖のガレ場で素晴らしいブルーポピーを堪能するが湖畔では「シロボウシカワビタキ」が水辺の岩の間尾を振り振り飛び歩いている姿も美しかった。
         

キハシゲリ                        シロボウシカワビタキ
6月21日ツォフ湖〜ボンテラ峠~ヤクサ 朝食を取っている時、ペマさんが「国鳥」が飛んでいる、という。「ワタリガラス」である。 7時には濃霧の中を出発すると岩に胸が白い大きめな鳥「チベットセッケイ」を見る。 川の如く細長い二つのツォフ湖が悠久な静けさを湛えて神秘的に静まりかえっている。鳴き声と共にスマートな青っぽい鳥が飛んでいる。「ムラサキツグミ」。湖上にダックが2羽と2羽が飛んでいる。「アカツクシガモ」だという。鳴いている鳥は「岩ヒバリ」。空には「ヒゲワシ」「ヒマラヤシロエリハゲワシ」「チゴハヤブサ」。

6月23日トンプ 〜 メンラ峠 〜 グニチャワ

今日の行程は下り一方。先ず緩やかな下りの所で大きな岩陰の所に「チベットセッケイ」が3羽。3,880mの森林地帯になると野鳥が多く見られるようになった。嘴が黄色の赤い鳥「シュイロマシコ」, 動きが速いがまた元の枝に戻るので充分楽しむことができた。あと緑色の鳥「ベニマユマシコ」も飛び交じっていた。遠くの木の梢の天辺には「シロエリツグミ」が。段々と急坂の下りとなると尾の長い赤い鳥「アカオタイヨウチョウ」が見え隠れする。「ウズラ」も出現。 最後のキャンプ地につくと、小鳥の囀りが賑やかだ:「チャイロウソ」「ズグロウタイチメドリ」「ハジロクロシメ」「キバシキンクロシメ」「ヤマガラモドキ」「ヒガラ」「セボシカンムリガラ」「ヤマミカドバト」「キバラアカゲラ」「オオジュウイチ」「ヒイロサンショウクイ」「ヒタキサンショウクイ」「クロヒヨドリ」「アゴシロモリムシクイ」

ペマさんのバードウオッチング姿: 写真

参考資料:Helm Field Guides “Birds of Bhutan” “Birds of Bhutan”鳥名の訳(ヤクランド2009年2月版) (文中の鳥名については、早とちりの間違いもあるかと思いますが、ご指摘いただければ幸いです。)
  
チベットセッケイ         シロエリツグミ  バードウオッチング風景(ペマさん)
 
BHUTAN2 2009