7 月8日(日)晴れ、午後雨 ランタン村滞在 ガンチェンポ(6387m)の眺め
 
 6時頃霧が晴れ、居室の窓から前日登ってきた谷間、北側の急峻な岩稜が全貌を現す。前景はやや斜面の畑で石垣の囲いに麦、白や紫の馬鈴薯の花、黄色い菜の花が咲き、所々にピンクのバラの木、ロッジや民家が点在する。黒い羽根にオレンジ色の腹をした鳥が近くの木に止まる。

 8時に朝食,全員血中酸素(以後朝食時に)を測る。ドイツ人カップルが出発。遠ざかる彼らの後ろに“黒”の姿がある。朝飯貰ってなついたのかなあ。
 天気がよく、U字谷の奥にガンチェンポが見える。食堂の脇を流れる小川で洗濯!食堂前に張ったロープに干す。意外に風が強い。ポーター達もベンチにのんびりくつろぐ。おや、“黒”がいる!なあ〜だ戻ってきたの。

 10時マンガル、ナムゲルの案内で散歩に出発。“黒”も一緒。草原に4,5歳の兄弟らしき男の子が二人、手製の弓と矢を持って遊んでいる。子供ながら精悍な顔つきだ。“黒”の足取りが急に遅くなり乱れる。男の子が弓を構えると、“黒”は一目散に、民家の中に逃げ込んでしまった。子供達が遠ざかるとまたついてくる。部落の入口の井戸端で女達が洗濯。近くには老人や赤ん坊、幼児や鶏やら賑やかである。写真を撮ったり、アメをあげたり村人と交流?“黒”はほんの暫くこの群の周辺にいたが、きびすを返すと、とっととっととロッジを目指して帰ってしまった。

 白・紫の馬鈴薯の花畑、刈り入れ寸前の大麦、牛糞干し、色鮮やかな寝具を干す家々の間を抜け、燦々と陽を浴びる草原を横切り、緩やかな坂道をゆっくりと登る。草や花が朝露を付け、きらきらと繊細に光る。黄色も鮮やかなトウダイグサ科の葉(ユウホルビア・ワリッキー)が現れひときわ目立つ。ピンク色の花をつけたバラの木が美しい。紫色のカラマツソウ(タリクトルム・レニフォルメ)、写真を撮りだしたらきりがない。 道普請用の石なのか、平たい石を背負った村人とすれ違う。やがてランタン村上部のチョルテン(仏塔)に至る。さきはマニ石を積んだ壁状のメンダンが続く。散歩はここまで。チョルテンからはランタン村の全容と、昨日登ってきた谷間の道と集落(ゴンパ、チョムキ、タングサプ)を目で追うことが出来る。タングサプで谷は曲がりゴラタベラは見えない。帰路単独行の日本人男性(写真家?)とすれ違う。

 昼食直後から雨が降りだし、洗濯物を食堂に干す。霧が出て谷は真っ白、寒い。ブルーのフードを赤いセーターから覗かせた少年(ロッジの息子)にストーブを指さすと、すぐ察して薪を割り火を焚いてくれる。何回か外にでては“金太郎さんの斧”を振るって薪を割る。英語で質問する。名前はドンホセ(?)、小柄だが14歳(?)、兄弟5人で末っ子(?記憶が怪しい)だそうだ。ストーブの周りに少年の母親や人が集まってくる。リンジの通訳で彼女の衣服を説明してもらう。民族服を着ている男性は少ないが、女性は殆ど民族服である。何故だろう。ドンホセ君はダワさんやマンガル相手にメニュを教材に英語のお勉強。

 夕食時リンジから日程変更の説明がある。シャブル・ベンシからドゥチェ間(らしい)で土砂崩れがあり、通行不能のため、キャンジン・ゴンバの滞在(3泊)を1日繰り上げ、1日早く下山した方がよいとのこと。



ランタン村でくつろぐスタッフと洗濯干し



ランタン村でお洗濯



手製の弓を持っている子供



洗濯する女達



ランタン村と野バラ



ランタン村のチョルテン



ドンホセ君


ランタン紀行