7月1日(火) 早朝晴れ間、雨。ヤトウラ峠(4431m)、白いケシ(4286m)、
         ユロ(4165m)。   石投げに興じるスタッフ。
 
  早朝、僅かに薄日が差し、周囲の山が姿をみせるが、直ぐに雲に覆われる。
6時 ヤクが採乳のため、背後の斜面から群れをなして降りてくる。 一方私達の馬が出発準備のため下の沼からどんどん上がってくる。そしてメコノプシス・パニクラータの葉を惜しげもなくむしゃくしゃ食べる。
出発の準備下方のキャンプ地と後方にチェンゼラ峠を見るく



ケシを食べる馬



ヤクの乳搾り、遠方の山にチベットへの道が見える

 7:00 出発。ゆるやかな斜面を横切るように登り道がつづく。右手は盆地状の谷間で斜面にはメコノプシス・パニクラータがあちこち林立し、向かいの絶壁から落ちる糸状の滝が小さな沼に一度溜まり、再び滝となって前日の谷底の沼に流れおちている。沼はさざ波一つなく黒々と静まり、一見大地が陥没しているように見え、水を湛えた沼とは判らなかった。

 

大地の陥没口のようにみえる沼



ブルーシープ

7:50 草地の台地に着く(4225m)。前方の岩状の斜面に ブルーシープの群れ。15頭いる。私達の気配を察したのか、岩の間を移動していく。 私達も彼らを追うように大きな岩の間を登っていく。8:40 本格的に雨が降り出す。ルンタを立てるため二本の柱を背負ったツサンと、私達の馬が追い抜いていく。
9:17 ヤトウラ峠(4431m)着。新しいルンタが風にはためく。



ヤトウラ峠とツサンが立てたルンタ



白いケシを探す

 広い草地の尾根伝いにくだり、やがて大きな岩のごろごろした道となる。10:06キプチュさんが「この辺り」と言って白いケシを探しに一人先に行く(4270m)。大きな岩の上や間を登ったり降りたり縫うように進みながら40分ほど探す。少し諦めかけて、アネモネなどをを撮していると、忽然と白いケシ、メコノプシス・スペルバが岩陰から大輪の花を覗かせている。とうとう見つけた!
11:10 岩の間から流れ落ちる水の中に2株(4286m)。近くには紫のメコノプシスも。

 

アネモネ



メコノプシス・スペルバ

12:01 見晴らしのよい草地(4225m)でランチ。谷間を巻くようにシャクナゲの斜面をトラバース。13:40キャンプ地ユロを遠望。ヤクマン小屋の上部をすぎ、第6キャンプ地14:00 ユロ(4165m)着。



ユロ遠望



踊るスタッフ:左からナゴ、ルンジ、
馬方3人(真ん中がツサン)、カカ、ジミー

 キャンプ地にリラックスした雰囲気が漂う。時折歓声が上がる。スタッフらが石投げをして遊んでいるのだ。キプチュさんも、白髪の交じるポーターのルンジさんも、手に火ぶくれができ、私達のお茶のサービスに残ったナゴを除いて全員が雨に全身濡れ鼠になって“的”に立てた木の棒を目がけて石を投げる。

 こんな単純なゲームに全員が子供のように夢中になっている。私達は半ば唖然とし、半ばその無邪気さを羨み、感歎して見物した。この遊びは夕暮れまで続いた。

 ユロはトレッキング最後のキャンプ地なのだ。夕食時に彼らの衣服を観るとはなしに観ると、そのままである。体温で乾いてしまったのか。美味しいピザが出る。そして食後、輪になって全員で唄いながら踊った。ゆるやかなテンポ、単純な手足の動きは盆踊りのようであった。
ブータン