6月28日(土)午前中晴れ、午後3時ごろより雨 第1ゴーチェラ峠(4183m),
           第2ゴーチェラ峠(4449m)を経て ヌプ・ツォナバタ(4183m)
 
 今日の行程は長い。7:05 ヴォンジダンを出発。渓流が見え隠れする湿った森林帯をひたすら登る。8:30 漸く森林帯を抜けシャクナゲが覆い始めるあたりで小休止し、衣服を整える。下方には昨晩のキャンプ地が日を浴びて輝き、後方にはチェンゼラ第二峠と、これまでの道程が辿れる。ここからは大きく波打つように山が幾重にも連なり、谷間から原生林が斜面を這い上がっていく広大な山域となる。

9:24 第1ゴーチェラ峠(4183m)。峠の先方にヤクマン小屋があり、犬が盛んに吠えながらやってくる。向かいの山頂にもヤクマンの小屋が小さく見える。彼らはいわば隣人同志だが、なんと深い谷に隔てられているのだろう。荷物を積んだ私達の馬たちが瞬く間に目の前を通過していく。その道の遙か彼方に第2ゴーチェラ峠の稜線が見える。
出発の準備



下方のキャンプ地と後方にチェンゼラ峠を見る



私達を追い越していく馬たち



第1ゴーチェラ峠

 9:40 峠から少しガレ場状の道を山腹を巻くように下りはじめる。9:57メコノプシス・パニクラータが咲く河原を横切り、さらに下る。10:27巨岩が、こぼれ落ちたようにごろごろ転がり、水が滝状に流れ落ちる広い窪地のような谷底に着く。赤いサクラソウと黄色い花が群生する清冽な流れを石伝えに渡ると次ぎに黄色いサクラソウの大群落に踏入る、可哀想だが踏まずには歩けない。その向こうの湿地にはあちこちにメコノプシスやリンドウがすくっと首を伸ばしている。上部の岩の間にはメコノプシス・パニクラータが林立。

 10:45 再びシャクナゲの間を登る。11:30 草地の小高い頂上で昼食(4148m)。黄色いサクラソウがあちこちに群れて咲く。私達への給仕が終わるとスタッフは輪になって食事をはじめる。この時キプチュさんが御飯を両手で丹念にまるめているのを目撃。そうやって食べるのかと思ったら、手を洗っているのだと。手はきれいになり、御飯の団子が黒くなる。最後はどうするのかと聞くと動物にやるのだといってにっこり笑った。ブータン式手洗い法であった。

 

群落するメコノプシスやキジムシロ



花畑の谷底



第1ゴーチェラ峠から続く道



ランチをとるスタッフ

12:15出発。山腹を巻くようにして歩き続け、12:30 とうとう大きな谷間を半周、第1ゴーチェラ峠が向かい合うように彼方に見える。12:46道は砂礫状の登りとなり、よく見ると小石の間に大小のエリオフィトン・ワリキーが足の踏場もないほど一杯(*4105m)。



苔?でクッションのようになった岩



エリオフィトン・ワリキーの群落



エーデルワイス
 更に登り続けるとピンクのトラノオ、ピストルタ・マクロフィラが一面咲きそろう草地に(*4245m)出る。13:13 雨が降り出す。やがて道は岩伝いとなり、道の上方も下方もピンク、白、オレンジなど色とりどりのシャクナゲの咲く斜面。霧に見え隠れしながら下方には小さな沼も見える。

14:04 (*4365m)雨に煙る大斜面にノビレダイオウが遠望される。シャクナゲにびっしり覆われた急斜面をシャクナゲの絡み合う木に足を取られないように横切り、稜線に出る。エーデルワイスが一株。

14:16第2ゴーチェラ峠(4449m)に着くが、足を止めることなく砂礫状の道を反対側にどんどん下る。ヤクマンの小屋、そして更にその先にキャンプが辛うじて霧の合間にゴマ粒のように見える。降りきると道は雨にいっそうじくじくとした湿地状の草地に変わり、メコノプシスもアネモネもサクラソウもみんな滴を滴らせて閉じている。

14:55ヤクマン小屋前を通過。犬が盛んに吠え、ヤクマンがこちらを見ている。15:07 ヌプ・ツォナバタ(4183m)第3キャンプ地に到着。聖なる湖ヌプ・ツォナバタが黒々と横たわる。スタッフは雨にびっしょり濡れながら各テントの周囲に溝掘り続けている。夕方雨が止み、霧の晴れ間に、第2峠の稜線にブルーシープの群れをカカさんが見つけるが、私達の肉眼では殆ど見えなかった。

夕食はスープと日本から持参の焼き餅。質素でシンプルな夕食が少し疲れた胃に心地よい。

ブータン