トレッキング・スタッフ
 
 私のたった2回の経験(共に8人パーティー、ロッジ泊)を元にいうと、トレッキングの編成はトレッカーと行動を共にするシェルパ、トレッカーの荷物を運ぶポーター、食事を担当するキッチンスタッフの3者からなる。 シェルパはまずコースのガイドであり、また宿泊・移動手段・補助ポーター・救急対応の手配などトレッキング中のハード部分を担う。またトレッカーと直接接触するのもシェルパである。頭であるサーダー、主任シェルパ、副(あるいは助手)シェルパの最低3人で構成され、それぞれ資格をもっているようだ。サーダーはトレッキング隊の最後方、中間に主任、先頭は助手(見習い)というのが基本位置らしく、隊には必ずこの位置にサーダーを除く、誰かしらシェルパが伴う。宿泊地では助手は(時には主任も)トレッカーの荷物の部屋への運び入れと回収、洗面の準備、お茶(アフタヌーンティー、モーニングティー)の準備、テーブルセッティング、配膳、給仕、下膳をする。

 ポーターはトレッカーの寝具(シュラフなど)、着替え、洗面用具などロッジで使用する日用品を運ぶ。大体一人30㎏(二人分)を背負う。今回はポーターの手配がマオイストなど政情不安の影響と手違いが重なり、8人に対し2人しか確保できず、従って一人50㎏背負ったときく。ポーターはトレッキング隊とは別行動で、前後して出発し、大体本隊より先に到着して荷を解いておく。

 こうしたトレッキング隊のポーターの他に、カメラ機材や、歩行中の手回り品(水筒、雨具、防寒着など)を持って貰う個人ポーターを頼むことが出来る。彼らは“雇い主”の傍らにいて、必要に応じカメラや水などを出したり仕舞ったり、また川を渡る時や急登坂では手を貸したり手足のように働いてくれる。 本当に“足”となってくれるのが馬(と馬方)で、個人的に雇うことができる。しかしあまり急な、細い山道ではやはり自分歩かなければならないが・・・  キッチンスタッフはコックとその助手で、トレッカーの三食の食事に関する仕事、つまり調理と後始末、食事に関わる用品の運搬をする。背負い籠にはいっているものは鍋、フライパン、ヤカン、ザル、ボールなどの調理器具、調味料、手洗い用小型水タンク(食堂に据える)、洗面器、テーブルクロス、食器などである。コックは後始末と運搬には携わらない。助手達は後始末を済ますとただちに出発し、本隊より先に到着し、先ず湯を沸かし、それから食事の準備を始める。

 1−3人の少人数のトレッキングの場合はガイドを兼ねたポーターを伴い、ロッジ泊で、食事もロッジで注文するようだ。また多人数のパーティーの場合、宿泊はテントということもあるらしい。その場合はテントを運ぶポーターも必要だし、キッチンスタッフの人数も変わってくるし、運搬にヤクなどを使うこともあるという。


アンナプルナ紀行