ゴーキョ・トレッキング 2012年7月4日(水)〜7月25日(水) 22日間   
 おわりに 

 私のゴーキョ

 ゴーキョへの道のりは大きく3つのパートからなる.
先ずカトマンズからルクラに飛ぶ.第二パートは村々を通過し、 長〜い吊り橋を幾つも渡リ、 谷底から這い上がるようにして登り着くナムチェ・バザールまで.
第三パートは再び高度を上げながら山地とカルカ(放牧地)を抜け、氷河湖畔ゴーキョに辿り着くまで.喧噪のカトマンズからゴーキョへ、それはなんとも長い道のりだった.  村道にはロッジが並び、秋・冬の登山シーズンを目指し、新築、増築の槌音、石を刻む金属音が響き渡っていた.断崖の台地ナムチェ・バザールに、モレーン直下のゴーキョにもロッジがひしめく. 山道や草原には踏み跡が幾筋もつき、トレッカーの多さを物語っている.

  雨期のどんよりとした雲の下を歩みながら人の「欲望」の底知れなさをおもった.だがこのトレッカーの「置き土産」を享受したからといって誰を責められよう.  
 ゴーキョ・ピークは丸い丘のような山だった.夜明け前、ヘッドライトを点けて登る.やがて夜が明けはじめ、道はガレ場に変わり濃紺の峰々が姿を現す、眼下に鈍色の湖、湖畔の僅か平地にロッジが辛うじて見て取れる.なんてちっぽけな人の営み!それよりも巨大な灰色の凸凹した帯状の地形に目を見張る.氷河、ゴジュンバ氷河と聞くが月面としか言いようのない異様な地形に俄には信じられない.スイスで見たそれとは全く違う.ヒマラヤのこの氷河は荒涼とし、わずかな生命体すら感じとれない.壮絶を極める.  

 巨大な氷河のサイドモレーンに隔てられた片側には三つの氷河湖が地の果てに吸い込まれるように続く、天空高く7~8000m級の峰々の頂きだけが浮かぶ.音という音がすべて吸い取られてしまったような静寂の世界.宇宙の静寂とはこのようなものだろうか.  

 ゴーキョ・ピークの魅力、それはエベレスト、ローツェ、マカルー、チョ・オユーをより真近に展望出来ること(今回は季節柄その頂きを垣間見ただけだった)ではない、いやそれらをひっくるめて果てしない静寂(永遠ともいえる)に、生きながらにして身を置くことが出来ることではなかろうか.                 (文責:千石玲子)
     

 ゴーキョ・トレッキング コース日程   リンク↓
 7月4日(水)・5日(木)・6日(金)  成田→バンコク→カトマンズ→ルクラ→バグディン
 7月7日(土)・8日(日)  バグディン→ナムチェバザール
 7月9日(月)・10日(火  ナムチェバザール→キャンズマ→ポルツェタンカ
 7月11日(水)・12日(木)  ポルツェタンカ→ドーレ→マッツェルモ
 7月13日(金)  マッツェルモ→ゴーキョ
  7月14日(土)・15日(日)  ゴーキョ→ゴーキョピーク→ゴーキョ→ドーレ
 7月16日(月)・ 17日(火)    ドーレ→キャンズマ→ポルツェタンカ→ナムチェバザール
 7月18日(水)・19日(木)  ナムチェバザール→バグディン→ルクラ
 7月20日(金)~25日(水)  ルクラ→カトマンズ→バンコク→成田
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